黒龍Ⅲ





「…それでもいいよ」



聞こえるか、聞こえないか、
本当に小さい声でそう呟いた伊織。



「…信じなくてもいいよ。



 麗に何があったのかも、
 麗の本当の気持ちも、


 まだ何も知らないけど。




 だけど、
 俺は信じてる」



伊織は真剣な眼差しで
あたしを見つめるから。



あたしは目を逸らすことが出来ず、





「…馬鹿…」





同じように
小さく、小さく呟いた。





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