黒龍Ⅲ
すると、
「…馬鹿でいいよ。
ここまで強くしてくれてありがとう。
バラバラだった白龍を
ひとつにしてくれてありがとう。
最初は、
女の下につくなんて嫌だったけど
今は麗が総長で良かったって思える。
俺らは麗を…、
…総長を信じてる。
それだけは覚えててよ!」
さっきまで
悲しそうな顔をしていた伊織が
笑顔になる。
その笑顔を見た瞬間、
「…本当に馬鹿…、
でも、ありがとう」
ぶわっと溢れる涙。
…伊織が見せた笑顔は
「…ごめんね」
無理やり作った笑顔で。
だから、
その笑顔に気づかないフリをして
あたしも嘘をつくよ。