黒龍Ⅲ
「…」
白龍、
いや鬼神組に来てから今日まで
一切崎沢から連絡がなかったため
そろそろだろうなとは
思っていたが
「…今日か…、」
こんなにも
何の前触れもなく
その日が訪れるとは
思っていなかった。
あたしは立ち上がり、
無駄に大きいクローゼットの中から
もともと用意してあったものではなく
自分が持ってきた服を
手に取る。
季節はまだ夏。
黒龍に居た時は
女だとバレないために、
パーカーにスキニーという
格好しかしてなかったため
…
「…寒いな…っ、…」
半袖に手を通すと
なぜかすごく寒く感じる。
…そんなんじゃなくて、
ただ、ただ、
みんなに会えない悲しみと
辛さがあたしを襲う。