黒龍Ⅲ
さっきまでの沈黙が
嘘のように
騒がしくなる周りとは反対に、
「…」
俺と遥、隼人は
未だ一歩も動くことなく
麗から
目を離すことが出来ずにいた。
「…っ、
何でっ、どうしてっ…!」
そう言って
麗に殴りかかる優真。
が、軽々とかわされてしまう。
「…みんな麗さんのこと
待ってるんすよ、
なのに、何で…」
「…」
麗は
優真の質問に
答えようとはせず、
そして
避けるだけで
手を出そうともしない。