黒龍Ⅲ
涙が出そうになるのをグッと堪えて
あたしはまた話し始める。
「…あたしは、
お父さんを殺した鬼神組を許せない、
許さないよ。
だから、今ここに居る。
お父さんの仇を撃つために、
ここに居る。
…だけど、それと同時に
崎沢から黒龍や獣牙を守るためでもあって…」
ここまで話すと
我慢していた涙がぶわっと溢れ出す。
「…っ、ごめん…。
本当は、今すぐにでも黒龍に戻りたいっ…、
悠さん、竜聖、浩貴、智貴、
駿、遥、優真、隼人…、
みんなに会いたいよ………」
悲しさ、苦しさ、
悔しさ、淋しさ、申し訳なさ、
そして愛しさ、
たくさんの感情が一斉にあたしを襲う。
その感情が涙となって溢れ出すあたしに
ふたりはまた
ただただ、隣に居てくれた。