黒龍Ⅲ
「麗を黒龍に戻して欲しいんだ」
口を開いたのは白龍幹部の小さな男。
「…意味分かんないよ…、
俺たちは麗にとって
関係ない存在なんじゃないのかよ…」
頭を抱える浩貴。
「麗さんは
黒龍に戻りたがってるんですか?
…麗さんが
黒龍に戻りたいって、
そう言ったんですか?」
竜聖の言葉に俯いた白龍幹部の代わりに
「…今は、
麗を黒龍に戻して欲しいとしか言えません。
麗のためなら何でも協力します。
…だから、…
…お願いします、
麗を助けて下さい。
黒龍に戻してあげて下さい」
白龍副総長がさっきよりも深く、
頭を下げる。
それに続けて白龍幹部も頭を下げると、
「…っ、お願い、します…」
ぽた、ぽたと涙を流す。