黒龍Ⅲ
驚いた様子で話を聞いていた二人。
質問されてから少し考えた後、
「…麗のためなら…。
ただ、
いくら変装すると言っても
黒龍の皆さんでは
気づかれる可能性が高いと思います。
なので…」
「俺が行く」
白龍副総長の言葉を遮ったのは
「…駿…」
俺だった。
「俺が行きます。
…いいですか、悠さん」
悠さんは少し考えた後、
「…お願するよ、駿くん」
困ったような顔でそう言った。
「竜聖、浩貴、
俺たちはここで出来ることをしよう。
まだあの日何が起こったのかも
なぜ智貴が撃たれたのかも
誰に撃たれたのかも
誰が救急車を呼んだのかも分かってない」
納得がいかないというような顔をする
竜聖と浩貴に悠さんはそう言うと、
「駿くん、
麗をお願いね」
もう一度俺を見て、困ったように笑った。