恋愛スキルライセンス
「おん?なんで圭一なんだ?」
磯山もなぜか困った顔をしている。
いや、そんな困らなくてもいいだろう。少なくともそいつよりはしっかりできるよ俺だって。
「圭一君は静かだけどものすごい才能を内に秘めていてそれでいてちょっぴりかわいらしい一面もあるからです!」
あ、アホかあいつ…。
「ほう、なんか友情的な推薦だな。どうなんだ圭一、できるのか?」
最悪だあいつ…。
友達やめたいレベルだ…。
「あ、いや、俺は、どちらでも…。」
そんで相変わらずこういうところは昔から変わらない俺の性格。
アホな元学級委員のせいで二年生の学級委員は俺がやることになってしまった。
「えー、では次に女子は、しおり、お前でいいか?」
磯山がそのしおりという女子を名指した。
しおり?誰だそいつ…。
「あ、はい、引き続きさせていただきます先生。」
その声のする方向を見た。
長い髪の可愛らしい子だった。
そっか、しばらく女子なんて見てなかったなら知らなかったけど、こんな子もいるんだ。
気づけば俺はずっとそのしおりをみていた。
「あ、よろしくお願いします圭一君…。」
目があったしおりがこちらに挨拶してきた。
「あ、ああ、よろしく…。」
不意をつかれたように返事してしまい、何人かはなぜか俺のその反応に盛り上がった。
「あれー、圭一ってば案外女子にうとかったりー?」
近くの席のギャルもそんなことを言ってくる。
「うるさいな、そんなんじゃねえよ!」
俺はさっと席に座った。俺の席は左から二番目の列で一番奥だ。
席に座って窓の方をみたら、隣の席の子がいない。
「あれ?なあ、おい、えっと…」
俺はさっきのギャルにたずねようとするけど名前が分からない。
手を伸ばし、肩をたたいた。
「ん?なによ圭一…。」
「いや、お前の名前なんだっけ?」
「はあ!?あんたどこまで女子に興味ないのよ!あたしは美緒っていうの!覚えときなよね!」
少し会話が大きかっただろうか…。
クラス全体が俺たちを変な感じで注目している。
変な感じというか、恐ろしい顔でみている…?
うん?なんでだ…?
はっ!!そのとき俺の背筋に嫌な汗が流れた。