恋愛スキルライセンス
良い雰囲気のまま仕事も終わり、クラスにはみんなが集まってきていつものようにホームルームが始まる。
なにやら男女共同の学校ではもうクラスは男女別れてしまってるクラスもあるらしい。
意外と世界は大きく変わっている。
俺だけがあまり変わっていない、そんな気がしている。
一人でいるせいか色んな会話が周りから聞こえてくる。
なにやら破局したカップルも少なくないらしい。
昨日の電気ショックを食らったカップルも別れたそうだった。
慎二ではないが、触れることがかなわないだけなのにこんな大きな効果があるとは思っていなかった。
「おい、圭一。」
ん?気づけば担任の磯山が俺の席まできていた。
「ボーッとしてないで。これ、今日のお前の仕事だ。」
なにやら配布プリントがつめられた封筒のようだった。
「お前の隣の席の花蓮(かれん)だが、一年の途中から不登校らしい。悪いんだけどお前放課後プリント届けてやってくれないか?」
この空席って、不登校のヤツの席だったんだ。
ていうか!
「ていうか先生!それだったらしおりに行かせた方が安全じゃないですか?」
俺の席からちょうど逆、廊下側に座るしおりがこちらを見た。
先生もちらっと見てからこちらに振り返り首を横に振った。
「しおりはだめだ、危険すぎる…。」
「き…けん?」
「いや、まあ、その、花蓮という女子はちょっとしおりには合わないというか…。」
ああ、問題児だったのか。
まあいっか、ポストに入れて帰るだけだし。
「いいっすよ。プリント届けるくらいね。」
俺はこのとき、軽はずみに返事したことを反省すべきだった。