恋愛スキルライセンス

鍋は簡単だった。



出汁を入れてあとは煮るだけ。




花蓮も俺もけっこう腹が減っていたみたいで、一瞬にしてたいらげてしまった。







「ふう、食った食った。」




「ごちそうさま。」






「なあ、少しは死にたくなくなったか?」








「分からない…。」








「そっか、これ。」





俺は花蓮にケイタイの番号を渡した。




「学校からのプリントは毎回届けてやる。学校に来いなんてそんな無理は言わない。」





俺はスクっと立ち上がった。




「じゃあ俺そろそろ帰るから、おじゃましたな。」




「ううん、邪魔なんかしてない。」




少し俺は笑った。



立ち去ろうとする俺に花蓮はついて来る。



「どうした?」



「お見送り。」





「そか、ありがとう。」





靴をはいて、玄関のドアノブに手を伸ばした、そのときだった。





きゅ。






花蓮が俺のそでをつかんでいる。





「ん?なんだ花蓮。」





「泊まってけば?」
< 55 / 121 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop