恋愛スキルライセンス
鍋は簡単だった。
出汁を入れてあとは煮るだけ。
花蓮も俺もけっこう腹が減っていたみたいで、一瞬にしてたいらげてしまった。
「ふう、食った食った。」
「ごちそうさま。」
「なあ、少しは死にたくなくなったか?」
「分からない…。」
「そっか、これ。」
俺は花蓮にケイタイの番号を渡した。
「学校からのプリントは毎回届けてやる。学校に来いなんてそんな無理は言わない。」
俺はスクっと立ち上がった。
「じゃあ俺そろそろ帰るから、おじゃましたな。」
「ううん、邪魔なんかしてない。」
少し俺は笑った。
立ち去ろうとする俺に花蓮はついて来る。
「どうした?」
「お見送り。」
「そか、ありがとう。」
靴をはいて、玄関のドアノブに手を伸ばした、そのときだった。
きゅ。
花蓮が俺のそでをつかんでいる。
「ん?なんだ花蓮。」
「泊まってけば?」