いちごみるくと恋わずらい
♯1 あこがれ

♯1



4月。

ほころびはじめた蕾をつけたたくさんの木々は、高校へ続くこの道をもうすぐきれいな桜色に染めてくれるだろう。

ふわりと吹いた優しい風は少しだけ冷たくて、だけど春の暖かい日差しに触れた肌には心地よく感じた。

吸いこむ空気も、春の匂いがする。



……うん、気持ちいい!!


ついこの前まで、あんなに寒かったのに!

マフラーも手袋も手放せないって思ってたのに!


4月に入る直前、急に春めいた日が多くなって、道の端に残っていた雪の山も今はすっかりとけてなくなっていた。


今年も、柔らかく、優しく、あたたかい季節の訪れに心が浮き立つ。




桜並木をまっすぐ進むと、私の通う高校がある。

周りを歩くのは、ほとんどが私と同じ高校に通う生徒たちだ。

春休み明け初めての登校日ということもあって、いつもよりなんだか周りのテンションが高いような気がする。


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