いちごみるくと恋わずらい
♯2 とまどい
♯2
ガコン、という重い音と共に落下してきた紙パックを自販機の中から取り出して、私はかがんでいた身体を起こした。
自販機の並びのすぐ近くにある購買は沢山の人であふれている。
お弁当でよかった、と思わず安堵の息を零してしまうほどだ。
あんな列に並んでいたら、お昼休みが終わっちゃうよ。
「モカ、買えた?」
「あ、うん!お待たせ!」
自販機もそれなりに並んでいたから、少し離れたところで私を待っていてくれた名桜ちゃんのところに急いで駆け寄る。
新しいクラスは、思った以上に見知った顔が多かったから、ひと安心。
選択教科ごとのクラス分けだったようで、私と同じ、文系国立大学を目指す人たちで集められたみたい。
「あんた、モカっつーの?名前まで変わってんな」
人混みから抜け出して、ふいに聞こえてきた声に思わず振り返る。