いちごみるくと恋わずらい

黒髪に黒縁メガネの、いかにも優等生って感じの風貌。

クラスメイトの、佐伯くんだ。

1年生からずっと同じクラスだから、それなりに仲はいいと思う。


「よ!」

「え、あんた卯月くんと仲いいの?」


片手を上げて軽やかに声を掛けた佐伯くんに、名桜ちゃんが驚いたような声を上げる。


「いやいや何言ってんの。俺ら同じ部活だし」


「え、卯月くんって陸上部なんだ!」


「……生徒会のいそがしさにかまけて幽霊部員になりかけてるけどな」


そう答えた卯月くんに、はたと気付いた。


朝、卯月くんに声を掛けられたとき。


卯月くんは私が見ている人が菊池くんだってすぐに気付いて、そして頷いていたけれど、それって卯月くんも陸上部だったからなのかもしれない。

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