いちごみるくと恋わずらい
えっ!
菊池くんも来るなんて、どうしよう。
これはまさかのお近づきになれるチャンスだよね……!?
行きたいかも……!
「ヒマって。失礼ねー」
「じゃあ香川はなんか予定あんの?」
「……ないけど」
どうする?と小首を傾げて訊ねてきた名桜ちゃんに私が何か答える前に、
「行く」
という低い声が聞こえた。
思わず声がした方に向けた視線は、まっすぐに卯月くんとぶつかる。
「行く。……ふたりも行くだろ?」
「え!?あ、はい」
語尾にクエスチョンマークはたしかについていたと思うのに、卯月くんの言葉には有無を言わせぬ圧力のようなものがあって、気付いたら頷いていた。
「詳しいこと決まったら教えて。じゃ」
ぽん、と私の頭を軽く手のひらで叩いた卯月くんは、佐伯くんにその言葉をかけると教室に戻るのか、背を向けて歩いていってしまった。