いちごみるくと恋わずらい
「おー、またな!」
卯月くんの背中にそう返事をした佐伯くんに、ひらりと一度手を振って、やがてその背中は角を曲がって見えなくなる。
「……」
「……卯月くんって何にも考えなくてもモテそうね」
思わずさっき卯月くんが触れていった頭のてっぺんを手のひらでおさえていた私は、感嘆のため息とともに呟いた名桜ちゃんの言葉にハッとして手を引っ込めた。
「なんだよ、香川は隼人みたいなのが好きなのかよ」
さっきまで上機嫌に卯月くんの背中を見送っていた佐伯くんが、名桜ちゃんのひとことで急に気分を害したように低いトーンの声を出した。