いちごみるくと恋わずらい
ちょうどお昼時ということもあって、たくさんの人でにぎわっている。
そんな人混みに視線をやりながら、佐伯くんがそう言った。
「あたし、やきそば!」
「あ、いいね。じゃあ俺も」
元気よくやきそばをリクエストした名桜ちゃんの意見に賛同して菊池くんが頷く。
「隼人とモカは?」
「適当でいいよ。なんか上手そうなのあったら買ってきて」
「あ、私も。ていうか、ついていくよ。一人じゃ持てないよね」
うまく人がいない場所を見つけて、芝生にレジャーシートを敷いていた私はその手を止めて佐伯くんを見た。
そんな私に佐伯くんは一瞬考えるような表情をしたけれど、すぐに笑って、視線を横に滑らせた。
「いいよ。ユウと倉田が暇そうだから、ふたりを連れてく。モカはここで隼人と荷物番してて」
佐伯くんは、私と卯月くんがシートを敷いているのを手持ちぶさたに眺めていた名桜ちゃんと菊池くんに「行くぞ」と声を掛けると、3人は人が溢れかえる出店の方に歩いていった。