いちごみるくと恋わずらい
「……モカって俺が好きなの?」
心が落ち着く暇もなく、そんなことを言われて目を見開く。
「ええええっ!?」
どうしてそんな話に!?
と素っ頓狂な声を上げてしまった私に、卯月くんは「だよな」と笑った。
「モカが好きなのは菊池だろ。じゃあ別に俺と出かけたところで何の問題もないじゃん。付き合ってねーもん」
「え、ええええー?」
そんなものなの?
男女交際禁止、って校則、そんなにゆるい感じだったの?
「当委員会において男女の友情は一切禁止しておりません」
わざとらしく真面目な顔をして言い放った卯月くん。
「ゆ、ゆうじょう……」
「そ。友情。それならいいだろ?」
いいだろ、と言われても。
天下の風紀委員長様がいいと言うのなら、きっとそれは間違いなくデートなんかじゃないし、許されることなのだろう。
それでもやっぱり少し迷ってしまって、すぐには頷けないでいる私の頭を卯月くんがポンっと軽く叩いた。
「モカ」
「は、はい」
「俺たち、友達になろう」
にっこり笑った卯月くんに、不覚にもキュンと胸が鳴いた。