いちごみるくと恋わずらい
……やっぱり、からかっていただけだったんだ。
付き合っていただけでこんなに重い処分になる環境で、ふたりで出かけるなんてできるわけない。
あんな言葉を真に受けて、ドキドキしていた自分がバカみたい。
少し考えれば分かることだったのに。
風紀委員長が、女の子とふたりでご飯に行ったりなんかできるわけない、って。
本気なわけない、って。
「……モカ……?」
名桜ちゃんに心配そうに名前を呼ばれて、顔を上げたかったけど。
「大丈夫……?」
そうきかれても、俯いたまま小さく頷くことしかできなかった。
顔を上げたら、泣きそうなのがばれてしまうと思ったから。
……どうして、一瞬でも彼の言葉に心を揺らしてしまったんだろう。