いちごみるくと恋わずらい
視界に飛び込んできた人に、一瞬息を止めてしまうくらい驚いた。
「ちょっと、モカ!!」
「え?」
慌てたような名桜ちゃんの声にハッとする。
……ん?
なんか、足、冷たい。
「……えっ!?きゃーっ!!どうして!?」
さっきまで持っていたはずの紙パックが膝の上に落ちて、まだほとんど飲んでいなかったそれはこぼれ、白いフレアスカートを見事な桃色に染めてはじめてしまっていた。
しかも、今日に限って白いスカートとか。
ついてなさすぎるよ、私……!
「ほら、ティッシュ!」
「ごめん~」
とりあえず、膝の上に倒れていた紙パックを机の上に戻して、名桜ちゃんが差し出してくれたティッシュで少しでもシミを抜こうとしたのだけど。
「!?」
いきなり、グイッと手首を掴まれた。
びっくりして顔をあげると、眉間にしわを寄せた、難しい顔をした卯月くんがいて。
そうだった、なぜか卯月くんが来てたんだった、と泣きそうなくらい頭が混乱してしまう。