いちごみるくと恋わずらい
ひゃあああ、と触れられた額に手のひらを当てると、それを見た卯月くんはまた笑う。
だけど、すぐに真面目な顔になった。
「……多分もう分かってると思うけど、俺、お前のことが好きだ」
強くまっすぐな声が、心臓に直接響くようだった。
それくらい、ドキッとした。
「去年の春からずっと、好きなんだ。
モカが菊池のことを好きだっていうのは知ってるし、こういう立場だし。
モカと両想いになりたいとか付き合いたいとか、そんなことは言わねーから。だから」
俺がお前のことを好きだってこと、それだけ覚えておいてほしい。
そう言って、卯月くんはふわりと笑った。
そんな微笑みに、胸がギュッとなって、まるで誰かに掴まれたみたいな感覚がする。
「え。ちょ、モカ」
何泣いてんだよ、と焦ったように言われて、自分が泣いていることに気がついた。
「……違うの。私、……菊池くんのことは好きだけど、それはただの憧れだって気付いたの。……卯月くんが気付かせてくれたんだよ」
「え?」
「ドキドキしちゃった、って。勘違いしちゃうって、言ったじゃん……。
私、今だってすごくドキドキしてるんだよ」
────そうだよ。
初めて会った時から、卯月くんにドキドキさせられてばかりだった。
「────私も、卯月くんのことが好きです」