天才極甘党系男子



「わたしは大丈夫なので…他の患者さんのところに……」


「あのさ、お前今の状況わかってそれ言ってんの?」


あ、怒った。


悪いことを言ってしまったらしい。


「婚約者だからとかそういう理由でちょくちょく来てるわけじゃないから」


「…そんなにひどいんですか?」


「自分がよくわかってんじゃないの?」


ため息を吐いてベッドに座る。


木元さんはそのわたしたちを見ていて、なんだかにこにこしていた。


「やめてよね。僕の妻になるならそれらしくおしとやかに過ごしてよ」


「ごめ…うっ」


「ほら、無理するから」


背中をさすってくれるこの人はきっと優しい人なんだと思う。


まぁ、最低なんだけど。


仕事上なんだろうけど。



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