天才極甘党系男子



「よくもやってくれたな!!!恥さらしめ!」


病院に心平を届けるなり、怒鳴られた。


こんなに怒っている父さんは初めて。


なんだか、新鮮で今の僕にはなんだか潤いのように感じられた。


「父さん、心平は大丈夫?」


「腎臓摘出かもな」


「え?」


「骨も粉々になっているところが多い。
筋肉も切れてるし、若いからあまり問題はないと思うがCTをとってみないとな」


「そっか」


「お前は当分、学校に行け。
これで医学部に進まないなんてことがあったらお前はただのクズだ。心平くんとも、寿美乃ちゃんとも縁を切らせてやるよ」


「…はい」


僕はそのまま出口に向かって歩く。


「あと」


「なに?」


「心平くんの家はいろいろあるみたいだから
お前が頑張れば無償でずっと診てやるよ」


「本当?!」


自分でいうのもあれだが、父親の腕は確か。


ずっと診ててくれるならきっと最初がどんなに最悪であっても普通くらいまでなら戻る。


必ずと言っていいくらいだ。


でも、受診料等々が高い。


だからこそ、僕にそれを提案したんだ。


「お前を院長にしてもいいと思えるような人になれ」


そう言って集中治療室に入っていった。



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