天才極甘党系男子
病院につき、なれたような足取りで部屋へ向かう。
つくなり僕の背中をおした。
「颯佑がドア開けなよ」
「…うん」
コンコンとドアをノックすると中から懐かしい声が返事をした。
僕はドアノブを握り締めてゆっくりと横にスライドさせた。
中には心平ひとり。
ベッドから起き上がってこっちを見ていた。
特に驚いた様子もなく、右手をあげる。
「よっ」
いつもの変わらない心平だった。
「…よっ」
「なーんだよ、しけた顔してんな、どうした?
」
「心平、大丈夫なのか?」
「んー、ちょっと運動厳しくなったけどへーき。ほら、俺ってさ体丈夫だからさ〜」
「…なに、無理してんだよ」
「無理してんのはお前だろ、颯佑」
いきなりヘラヘラするのをやめて真剣な顔になる心平に、こいつには勝てないって改めて思った。
僕にとって大切な存在であると。
欠かせないって。
「聞いたぞ、全部。
そんなことしなくていい。颯佑のしたいようにしろ」
「ううん、これが僕のしたいことだから」
それは本心だった。
自分が頑張れば心平はよくなる。
元気になる。
そうわかってるのにやらないなんてふざけてる。
「そっか」
「心平、早く退院してまたどっかいこ」
「おうよ」