天才極甘党系男子
「寿美乃ちゃんと別れてほしい」
「えっ?」
「お前に婚約者ができた」
ありえないって思った。
僕の中ではもう、寿美乃との結婚しか考えていなかったから。
「寿美乃じゃなきゃ無理です」
「寿美乃ちゃんじゃないが澄乃ちゃんだよ」
「は?」
もう、最悪だった。
僕の中での何もかもが、崩れていった。
「いいな」
「よくないですよ!」
「お前が今まで遊んできたのが悪い。
ここまで自由にさせておいたんだ。これくらいはしろ」
そう言って父さんは出ていった。
寿美乃。
僕は、やっぱり。
間違っていたんだと思うよ。
何度考えてもいい案は浮かばない。
逃げることしか浮かばない。
何度嫌だと言ってもあの人はきっと頷かない。
「…っくそ!」
悔しかった。
遊んでいたからこそ、寿美乃に出会えたのに、
遊んでいたせいで寿美乃と離れることになる。