天才極甘党系男子
「ねぇ、颯佑」
「ん?」
少しだけ、わたしのわがままを聞いて。
「どうした?」
「抱きしめたい」
そう言うと驚いたように足を止めた。
そしてじっとわたしを見る。
わたしは颯佑に抱きついた。
抱きしめてる、というよりは身長の関係で抱きついてるになるけど。
颯佑はゆっくりとわたしの背中と頭に手を回してくれた。
「素直じゃん」
「颯佑が変わったからね」
「変わった?」
「最初なんかドライアイスみたいだったもん。
話しかけるのすごく嫌だった」
「…ごめ」
「でも、いいんだ〜」
「え?」
「もういろいろ話してもらったし満足!」
わたしはぎゅうっと力を込めて抱きつくとゆっくり離れた。
「ありがと、颯佑」
そして、今度はわたしから手を握って家に帰った。
すごく大胆。
わたしからしたらとっても。
でもこの時はなんだかできてしまった。
幸せでいっぱいだったからかもしれない。