天才極甘党系男子
「あの時、わたし、結婚するならお互いが好きになってからがいいって思ったの」
そう言っても颯佑は表情を変えない。
「今が幸せで、そんなこと思っちゃったの。
わがままになっててもっともっとって求めてるの」
そんな自分が嫌。
わたしは苦笑いして立ち上がり食器を片付ける。
「ただ、それだけ」
颯佑のも片してキッチンで洗う。
颯佑はゆっくり立ち上がってカウンターの方からわたしを見てきた。
「澄乃」
「…なに?」
「ありがと、教えてくれて」
「ううん、いいの。気にしないで」
気にして欲しくない。
颯佑はゆっくりとわたしの方に来る。
「気にするよ」
「颯佑っ!」
「でも、今は無理だと思う、ごめん」
わたしはその先を聞きたくなくて颯佑の名前を叫んだのに。
颯佑はまっすぐわたしにそう言った。