天才極甘党系男子
煙たさにわたしは目を開けた。
「ゲホッ……ゴッ…」
周りには誰もいない。
瓦礫だけがある。
でも、時折うめき声が周りから聞こえた。
「なに…これ……」
動ける限り辺りを見回す。
それは最悪だった。
奥からは炎がやってきている。
天井も今にも落ちて来そうだった。
ここは大きなビルの1階。
上の物が落ちてきたら終わりだ。
「…いた…ぃ……」
体が半分以上瓦礫に挟まれていて身動きも取れない。
でも痛くて涙も出てこない。
声も出ない。
助けて…
助けて、颯佑。