天才極甘党系男子
「颯佑」
後ろから声がして振り返ると、
そこには咲和と心平がいた。
「よ」
「大丈夫?やつれてるじゃん」
2人は僕に近づく。
「あの時の颯佑みたいだな」
「僕もそう思う」
心のなかったあの期間。
寿美乃と別れたあの期間。
父さんに…自由を奪われたあの期間。
「澄乃は元気?」
「…まだ目を覚ましてない」
「大丈夫なのかな…」
「咲和、ここに座りなよ。子どもいるんだし」
「あ、ありがとう」
僕は椅子から立ち上がって咲和を座らせる。
「じゃあ、僕は仕事に戻るから」
「…医者って大変だな。ここに大切な人がいるのに他の人を診なくちゃいけないんだもんな」
「もう、慣れたよ」
「お前、辛かったら泣いていいんだからな」
「どうして?どうして、辛くなるの?」
「わかってんじゃねぇの?」
「…」