天才極甘党系男子



夜。


僕は当たり前のように澄乃の病室に入る。


「澄乃」


そう呼ぶと、ピクっと瞼が動く。


「えっ…澄乃?!」


それからゆっくりと目を開けた。


何度か瞬きをして明るさに慣らしてから僕を見る。


「そ……すけ…?」


「…澄乃……よかった…っ」


脳外科医を呼び、僕は泣きたくなる気持ちを精一杯に抑える。


ひと通りの確認は終わり、無事が確認されると医師は帰っていった。


「な、に……ない…てんの?」


「あー、もう良かった…」


涙が溢れて止まらない。


男なのに情けないけど本当にホッとしたんだと思う。


「…痩せた?」


「少しね」


「…食べなきゃ……」


「退院したらおいしいの食べさせて」


「ん…」


そう言って弱々しくもいつもの笑顔をくれた。


それに答えるように


僕も自然と笑顔になれた。



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