天才極甘党系男子
「お願いだから、ムリしないでね」
「無理しないで医者なんて務まらないよ」
「ねぇ、颯佑」
わたしたち、もう少しいてもいいのかな?
そんな、無理をする颯佑を少しだけでも支えることはだめなのかな?
どんなに颯佑がいいと言っても。
小森さんの話は頭から離れない。
わたしは不釣り合い。
なにもわかっていないんだもの。
ごもっともな意見。
だから、何も言い返せない。
「どうした?」
でも、わたしはそんな意見を無視してとなりにいたいと思う。
「…澄乃?」
「わたしダメだね。ちょっとネガティブになってるみたい」
「なにかあったの」
「ううん、なにもない。ほんとになにもないの」
「お前こそ、無理はしない方がいいよ」
そう言ってわたしの、頭をポンポンと撫でる。
わたしはそんな颯佑を下から見上げる。
「颯佑、好き」
それは自然と出ていた言葉。
「…ありがと」
ただ、それだけ。
それだけでもわたしはいっぱいになる。
「早く退院しなよ」
そう言って立ち上がる颯佑。
わたしは首を横に振った。
「いろんな颯佑見られるからこのままがいい」
「僕は嫌だよ、こんなの」
そう言って笑うと資料を持って部屋から出ていった。