天才極甘党系男子
そして、あの時座った席にわたしたちは座る。
「診察券、出しに行かなくていいの?」
「いいんだよ、澄乃」
そういうと、わたしをまっすぐと見る。
向かい合って座るわたしたちはまるであの時みたい。
初めて出会った、あの時。
「澄乃」
「なに?」
「いっぱい傷つけてごめん」
たしかに。
颯佑と会ってから泣くことが増えたかもしれない。
「素直になれなくてごめん」
何も言わないで隠すからわからないことたくさんあったな。
「でも、僕から離れないでいてくれて、甘いもの作ってくれて、好きになってくれてありがとう」
「えっ……」
「澄乃」
「…っ」
「僕たち、結婚しよう」
「へっ……?」
「傷つけるかもしれない。泣かせて、素直になれなくて喧嘩もたくさんすると思うけど、これからも僕のために笑って甘いもの作ってほしい」
「もちろん……当たり前じゃん…っ」
「澄乃、幸せにするよ」
「幸せにしてっ」
わたしは泣きながら何度も頷いた。
そして、
家族に感謝して
颯佑にも、感謝して
「……お義父さんは…?」
「認めてもらえたよ。もう、呆れてたけどね」
そう言いながら笑う颯佑。
そんな颯佑への想いがどんどん大きくなる。