黒き時の物語
到着
「ギィ…ギギィ…」
カラサントの南方に位置する街だが
既に敵襲者達の手によって
壊滅的状況になっていた
辺りには兵士達や逃げ切れなかった
一般の人々が倒れていた
「あっ……!」
敵襲者達から逃げている
少女がいるがどうやら瓦礫に
躓いて転んでしまったらしい
ジャリッ…
それに気付いた敵襲者は
少女に向かって進んでいく
「いやっ…!」
かろうじて意識のある兵士や周りの
人々は倒れながらその光景を
歯噛みしていた
「助けて……」
少女は振り絞るように呟いた
「ギィ…」
言葉も通じぬ敵襲者は
表情一つ変えず剣を振り上げた
少女は涙を流しながら
恐怖に目を閉じた
「………?」
だが攻撃が来ない
少女は恐る恐る目を開いた
「え…?」
目を開いた先には崩れ落ちた
敵襲者の姿があった
「間に合ったか…」
少女は声の方を振り向く
そこには二人の少年が立っていた
「大丈夫か?危ないから離れてろ
すぐ終わらせる」
少女の頭を撫でながら
優しく微笑むのはクローズと
呼ばれる少年だ
少女は状況を飲み込めないようだが
自分が助かった事に安心したのか
先程より大粒の涙をながしながら
走っていく
「クローズ様…!」
倒れている兵士の一人が
安堵の声を漏らした
恐らくこの二人は
兵士達よりも強いのだろう
「ホントに骸骨みたいだな…
言葉も通じねえか…
だからって罪も無い少女に
手を出した以上、殲滅するが
文句は言わせねえぞ…
まあ通じねえか」
クローズは言って両腕を開いた
バシュッ!
クローズの両手に光のような物が
走ったと思ったら
両手には銀色の銃が握られていた
「キル!そっちは頼むぞ!」
「了解」
キルとクローズは左右に散っていった
「目標発見と…」
キルは骸骨を発見すると
左手に力を込め出した
するとクローズと同じように
左手に先程の剣が現れた
「ギィ…!!」
ダンッ!
と勢いよく飛び出して
くる骸骨
上に飛び下にいるキルに向けて
剣を降り下ろした
ギィィイイン!!
キルはこれに剣を上に
振り上げ応じた
そして剣を弾き降りてきた
骸骨に向かい横凪ぎに剣を振るう
バキバキバリィ!!
と骨が砕けるような音が鳴り
骸骨の体が二つに割れ
地面に転がった
「一丁上がりっと!…ておいおい」
骸骨の一つを倒したキルたが
振り替えると大量の骸骨達が
構えていた
「面倒くせえな…使うか…」
キルは剣をしまってしまった
丸腰になったキルだが
表情は笑っていた
ズバババァアアン!!
「おらぁっ!!」
一方クローズは四体くらいの
骸骨に囲まれながら応戦していた
両手の銃を扱い的確に
骸骨を打ち砕いていく
どうやら只の銃弾では無いらしい
「あとどれくらいだ?」
汗を拭いながらクローズは
辺りを見渡した
南方の街は飲み屋や宿が
多いため要り組んだ形になっているので
全体を見渡すには上に登る必要がある
クローズは建物の中に入り
屋上へと向かっていった