黒き時の物語

疑問


城を後にした二人は
西の街を歩いていた
どうやら自分の家は
西の街にあるようだ

「俺達も唖人について
調べなきゃな…」

そう呟いたのはクローズだった

「ああ…そもそも滅んだはずの
唖人だろ?何で俺達は唖人なんだ?」

「わからない事だらけだな…」

二人は自分達が何者なのか
わからないままなのだ

(…それにキルが狙われた
理由も気になるな…)

クローズはそんな事を考えていた

「とにかく今日は休もうぜ?」

キルは考え事をしているクローズを
気遣ったのかそんな事を言って
笑顔を作った

「…ああ、そうだな」

クローズはふっと笑い歩きだした


――――――――


「それで?のこのこ帰ってきたのか?」

「申し訳ございません…」

何処かの城の中だろうか
広い空間に対し灯りは少なく
暗いイメージを持たせる
部屋で方膝をつき頭を下げているのは
ミラと呼ばれる男だ

この男キルの首を狙い
奇襲をしてきた者である

「やはり唖人だったか…」

そう言っているのは
部屋の先にある階段の上の
椅子に腰掛けている男である
暗いからか顔は見えない

「はい…確かに唖人の力を
使っていました…」

「キルド・エンカ…
唖人の血を引く者…」

椅子に腰掛けている男は
うっすらと笑っていた

「それと、何やら異種の存在が
表れたとか…」

ミラはそう呟いた

「奴等が何者かはわからんがな…
唖人とは違うがこの世界に
また悲劇を起こそうとしている
情報を集めつつ、唖人の殲滅を
続けるのだ…」

「はっ…」

ミラは立ち上がり部屋を後にした

「唖人とは異なる異種…
まさかな…」

椅子に腰掛けている男は
そう呟くと静かに立ち上がった



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