黒き時の物語

敗北


ガバァ!

「…!?」

キルは気付くと王国にある
病院のベッドで寝ていた

「起きたか…」

「クローズ!」

キルの隣のベッドには
クローズが座っていた

二人とも怪我を負い
意識を失っていたのだ

顔や体には包帯などが巻かれていた

「まだ無理に動くな
俺よりお前の方が酷いんだ」

クローズは悔しそうな顔を
浮かべていた

「俺達…負けたのか…」

キルも同じように悔しそうな
顔をして、歯噛みしていた

ガラガラ!

病室のドアが開いて
一人の男が入ってきた

「…ジジイ…」

そう国王である

「二人とも…命があってよかった…
そしてお前達を救えなかった
このワシを許してほしい…」

国王は二人に頭を下げた

「止めろよ…無理もねえよ
あそこの森はジジイの結界の
外だ…それに城からじゃ
あの爆発には気付かないだろ」

どうやら今回襲撃を受けた森は
結界の外にあるようだ
西の街の外れにあるからだろう
つまりキル達があそこで
進軍を止めてなければ
また結界を破り
西の街を攻めてただろう

「……一つ、情報を手に入れた」

キルは下を向きながら
そう言った

クローズと国王は驚いた
顔をしてキルを見た

「俺達がやられた男は自分を
忌人と名乗った……骸骨達を
動かしているのも自分だとな
それと、ミラの仲間ではないらしい」

「忌人…?」

クローズは聞いた事の無い
名前に驚いていた

「忌人じゃと…?まさか…」

国王はその名を聞き
目を見開いた

「知ってるのか?」

キルは国王に聞くと
国王は目を反らし

「ああ…じゃがまさか忌人が
現れるとは…」

「忌人って何なんだよ?
あいつは唖人と対を為すものって
言ってたぞ…唖人に関係してんのか?」

「そうじゃ…唖人と忌人は
対を為すもの…そして
争う事を決められた者達じゃ…」

国王は病室の窓に目をやり
そう話していた

「今さら驚く事も無えよ
教えろよ…忌人について」

クローズは国王に目をやり
真剣な顔つきで言った

「…ああ、教えよう…
忌人について…」


――――″唖人″と″忌人″

そして唖人を狙う者達

全てが交差し交わるとき
物語は大きく動きだす

国王は静かに話始めた
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