黒き時の物語
食事
「さ、入って入って!」
キルは半ば強引にルカの家に
連れてこられていた
洋風な家でそこそこな大きさである
「悪いな、何から何まで…」
キルは申し訳なさそうに言ったが
「いえ!たい焼きのお礼です!」
と笑顔で返すルカ
この少女、とても純粋なのだろう
二人は中に入ると
キルは椅子に腰掛けた
「今、ご飯準備するね!
少し休んでて?疲れてるでしょ?」
言うとそそくさと台所に向かい
ご飯の準備を始めるルカ
(どんだけ出来た子だこいつ…)
キルは心の中で呟いた
「そう言えばどうして闘技大会に?」
台所で調理しながらルカは
キルに話しかけた
「ああ、ちょっと修行を兼ねてな
口うるさいジジイに無理矢理な」
「そっか、でもキル強いの?」
「人並み以上にはな…でも
それでもまだ俺は弱い…」
気付くとキルは拳を
握りしめ険しい顔をしていた
それをみかねたのかルカは手を
止めてキルに近付いた
「大丈夫?」
心配そうな顔でキルを見た
キルは我に帰り拳を緩める
「っと…悪い、大丈夫だ」
「そう…よかった…
でも無理しちゃ駄目だよ?」
ルカは笑顔でそう言うと
台所に戻っていった
「ありがとな…何か元気出たよ」
キルもつられたのか顔に笑顔が浮かんだ
「ふふっ…なんか恥ずかしい」
ルカは少し体を揺らしていた
――――――
「出来たよー!」
ルカはかちゃかちゃと
食器を用意した
野菜が沢山入ったスープと
どうやらパスタのようだ
「うわ!旨そう!いただきます!」
キルは勢いよく食べ出すと
「うまぁああーー!!!」
と大声で言うと物凄い
スピードで食べ始めた
「本当!?嬉しい!」
ルカは笑顔で手を顔の横に合わせると
自分も食べ始めた
――――――
「ふーっ…食った食った!」
二人は食事を終え
ルカは食器を片付けていた
「よかった、喜んでくれて」
「いや、本当旨かった!
ルカって凄いんだな」
「そんな事ないよ!
それより、明日応援に
行ってもいいかな?」
ルカは少し照れながら言った
「本当か!?ならいいとこみせないとな」
キルは拳を握り笑顔で言った
「ふふっ…頑張ってね、キル」
「おう、まかせとけ!」