黒き時の物語
進出
「それでは本選を始めます!
本選は予選と同じく
銃器や刃物は禁止!
ギブアップか戦闘不能と
なった場合終了となります!」
歓声の後
第一試合の選手達が
入場した
――――――
「そこまでー!!」
第一試合が終了し
キルの出番になった
「よろしく」
「っと、よろしく」
見た目キルより歳上の男は
上半身裸で下は柔道着のような
物を着ていた
「それでは第ニ試合、始め!」
放送と同時男はキルに向かって
拳を振るった
「っと!」
キルは低く腰を落とし拳を
かわすと腹に向かって拳を突き出した
「おらあっ!!」
ドッ!と鈍い音が鳴った
「…いいね、楽しめそうだ」
「頑丈なこった」
男はキルの拳を受けても
平然としていた
「ふん!」
男はお返しとばかりに
キルの腹に拳を突き出した
「…いいね!楽しめそうだ!」
しかしキルも余裕の表情で
同じ言葉を返した
互いに見つめ合い構えをとる
「「らあっ!!」」
――――――――
「すごいです!
二人共もう10分以上も
殴りあっています!」
実況と共に歓声が上がる
「…んならぁ!!」
キルは拳を顔に向けて振るった
「甘い!」
男は拳をよけ
カウンターでキルの顔を殴った
「ぐっ…!」
ぐらつくキルだが
何とか持ちこたえそのまま
男の柔道着のようなズボンを掴んだ
「!?」
キルはそのまま力を入れると
男を持ち上げた
「おぉおおぉお!!!」
キルは男を頭から後ろに
突き落とした
ドッシャアアア!!!
轟音と共に男が沈んだ
「……そこまでー!!
勝者!キルド・エンカ選手ー!!」
わあああ!!!と歓声が上がった
観客席にいたルカはほっと息を吐いた
「っし!」
―――――――――
「キル!怪我は大丈夫!?」
試合後選手控え室に来たルカは
心配そうな顔でキルの手当てをしていた
「大丈夫だよ、サンキュー」
キルは笑って言った
「ならいいけど……無理は駄目だよ?」
ルカは少しぷくっとした顔を
しながら言った
「わかってるよ」
キルは苦笑いをした
―――――――――
準決勝も勝ち上がり
残すは決勝になっていたキル
どうやら準決勝の相手は
ワンパンで沈んだらしい
「さあ!いよいよ決勝戦です!
先ずはキルド・エンカ選手!」
歓声が上がり中に入るキル
「対するはレイバン選手!」
同じく歓声が上がると
レイバンと呼ばれる選手も
中に入って来た
「それでは!決勝戦!始め!!」