黒き時の物語

国王の懸念


「…………」

カラサントの南方に位置する街
応戦を始めた兵士達だが

「ギィ…」

圧倒的だった
辺りに倒れこむ兵士達

兵士達がやられた事により
街の人々はより恐怖を覚え
我先にと逃げていた

「兵士達がやられただと!?
くそっ!どうなっている!?」

声を荒立てているのは
この王国の国王である

シャンデリアや金色で統一された
自室にある机を叩いた

「あいつらは何をしておる!?」

「クローズ様には連絡が
とれたのですが…」

国王が言うあいつらの一人は
クローズと言うらしい

「とにかくクローズを現場に
向かわせ、連絡がとれ次第
あいつも向かわせろ! 」

「かしこまりました」

走りながら国王の部屋を
後にする兵士

「結界が破られただけでも
異例じゃと言うのに兵士達を
ものともせんとは…」

そう、カラサントは屈強な国王が
発動させている強力な結界により
外部の敵の進入を防いでいるのだ

よってここ何十年と敵に
攻めこまれる事は無かった

と言うのもカラサント以外の
王国や小規模な街などで
争いが絶えず行われているのだ
互いが互いの領土を求め
争いが争いを生んでいる

国王は自分の国を拡大させる事を
望んではいないため結界を張ることで
外敵からの進軍を防ぎ
争いが起きぬようにしていた

王国の人々に無駄な血を流させぬ為だ

「結界が破れた事に乗じて他の王国が
攻めてくる事もある…今一度
結界を張り直す」

言って国王は自室の奥にある
部屋に入っていった



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