黒き時の物語

異質の力


ポタッ…

血が流れていた
剣を降り下ろしたミラが
キルド・エンカを斬った事に
よる物だろうか

「なん…だと…?」

しかし血を流していたのは
ミラの方だった

だが切り傷による出血では無く
口から血を流していた

その理由は簡単だ
キルド・エンカの拳が
ミラの腹に叩き込まれていた

「どうした?意外か?」

にやりと笑うキルド・エンカ

「今のは…まさかっ…!?」

ミラは何かに気付いた様子だが
それが何の事かはわからない

「そうか…どうりで貴様の首を
狙う訳だ…その力…」

ドシャッと地に膝を付くミラ

「知ってて狙ったんじゃないのか?」

キルド・エンカは左手の剣を
軽く振りながら聞いた

「私が受けた命令は貴様の首だけ
詳しい事は聞いていないと
言っただろう」

「そうだったな…とにかく
ジジイのとこ連れてくぜ?」

キルド・エンカがミラに近付く

ブゥン…!

「!?」

しかしミラを捕らえる事は無かった
突如としてミラを黒い煙の
ような物が覆った

「悪いが捕まる訳にはいかんのでな
逃げさせてもらう」

「ッ…!待て!」

キルド・エンカはミラを掴むように
腕を振るうが空を切った

バシュッ!

今までそこにいたはずの
ミラは姿を消していた

「…何なんだ…つかジジイの
結界はどうした?情報がいるな…」

キルド・エンカが持っていたはずの
剣はいつの間にか消えていた

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