黒き時の物語
報告
「キル!」
国王の元へ向かっていたキルド・エンカ
にキルと呼び掛ける少年がいる
「クローズ!どうなってんだこれは」
その少年はクローズと言うらしい
どうやらキルの知り合いのようだ
見た目はキルと同じく18歳くらい
黒く少し長めの髪を横に
ツンツンと流している
目は少し大きめで顔はキルより
少し大人っぽい感じだ
着ている服はキルと同じ物だが
クローズは羽織を着ていない
「ジジイが連絡付かねえって言うから
何してんのかと思ったら
もう情報を掴んでたんだな」
「は?何の話だ?俺はミラとかいう
変な奴に襲われたから
報告に行くとこだがその事か?」
「ミラ?…南方の街に敵襲者が
現れたから撃退しろって命令だぞ」
どうやら話が噛み合っていない
様子の二人
「何だと?あいつみたいなのが
他にもいやがんのか?そもそも
あいつは俺の首を狙ってた…」
「報告によれば敵襲者の数は100
兵士達は手も足も出なかった
みたいだが言葉が通じないって
話だったぞ?お前そのミラって
奴と話したのか?」
そうクローズが受けている報告の
異変は南方に攻めてきている
骸骨のような言葉も通じぬ
相手の話だ
当然キルが交戦した相手の情報は
掴んでいない
キルの方も逆にクローズが受けた
報告の内容は知らなかった
「言葉が通じない!?ミラって奴は
普通に会話してきたぞ?」
キルは驚いた表情を見せながら
クローズに報告する
それを聞いたクローズは
「南方にいる奴らは骸骨のような
見た目をしているらしい…
ミラって奴はどんな格好だった?」
「顔まで布で覆ってからどんな
見た目かはわからなかった…
てか、骸骨!?んだそりゃ!」
キルは報告をしながらも
クローズの報告に驚いた
「そうか…それでそいつはどうした?」
「あぁ、一発拳ぶち込んだら
逃げやがった」
「逃がしたのかよ!」
半ば呆れながら怒鳴るクローズだが
あの状況ならば仕方ないだろう
「まぁいい…とにかく敵襲者達の
の所に向かうぞ!」
「了解…てかジジイが出ろよな」
ダッ!
二人は方向を合わせ南方の街に
駆け出していった