陽のあたる場所
高円寺に着くと、近くのスーパーで、フライパンやらボールやら材料やら大量に買い込んで家に帰った。

「メニューは何でしょうか。お嬢様。」

「うん。リコッタチーズとフルーツトマトのパスタとルッコラとベーコンのピザ。」

「え~ちょっと最初からハードル高すぎない?」

「だって、こないだ食べたばかりだから味覚えてるし、本屋とインターネットで調べたから完璧だと思う」

「まあいいや、やってみるしかねーな」

俺たちは、さっそく買ってきた色違いのエプロンをして、料理を始めた。
なかなかヒナタは調べただけあって、手際は悪くなかったが、それでも初めての本格的な料理はかなり二人にとって大変だった。
ピザ生地を作る時は台所が一面粉だらけになってしまったが、なんか幼稚園の粘土遊びをしているような感じで、すごく楽しかった。

出来上がると、見た目はちょっとイマイチだったが、すごくうまかった。
最初に受けた印象より、ずっとヒナタは賢いらしかった。

「うまい!」

「やったね!私って天才かな」

「はは。本当に自信過剰だな」

「だって本当だもん」

「わかったわかった。ヒナタ様は天才ですよ」

「明日から毎日作ってあげるよ。」

「マジで?後片付けの方が大変そうだけど」

二人で悲惨な状態の台所を見て失笑した。

「私、このくらいしか役に立てないし。
後片付けもちゃんとやるから、いいよね?」

「俺は嬉しいけど、毎日手作りの方が」

「じゃ決まりね」

こんなに楽しい1日は本当に久しぶりだった。
ヒナタといると緊張したり興奮したりもするけど、どこか安心出来る部分もあった。

寝る前に昼間撮ったプリクラを見ると、俺は今まで見たことないほどの笑顔で写っていた。

ヒナタは本当に不思議なコだ。
一緒にいると幸せを感じられた。

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