二重人格の彼
さよなら
次の日、憂鬱だったけど学校に行った。
「あっ!凛ちゃん!」
麻実さんがあたしを見つけるなり近寄ってきた。
なんか最近麻実さんを警戒してるな……あたし。
「なんですか?」
「あたしね、とうとう隼人と付き合うことになったんだ!」
もしあたしが先輩のこと好きにならなかったら、喜んでおめでとうと言えただろう。
けど、今は言えない。
「というわけで、もう隼人にちょっかいださないでね」
「………ッ」
さっきまで嬉しそうにニコニコしながら話してた麻実さんが急に無表情になり冷たく言い放った。
「あともう生徒会来なくていいから、隼人も鬱陶しいって」
麻実さんはそう言って去った。
鬱陶しい……あたし、邪魔だったんだね。
もう、あの生徒会室には行けない。
ていうか行きたくない。
先輩と麻実さんが一緒にいるところを見ると、たぶん涙が出てくると思う。
1年と3年は世界が違う。
そう早苗が言っていた。
本当にそうなのかもね。
多分、もう会うことはないのかもしれない。