二重人格の彼


「いやぁーーー」


「おい、神田?」


先輩の声も届かず、しゃがんで耳を塞ぎ、叫び続けた。


「こわい、こわい」


「神田!」


気がつけばあたしは先輩に抱きしめられていた。


「先輩?」


息を切らしながら先輩を見た。


「お前、暗所恐怖症だったんだな」


「先輩、離れてください」


「離れるわけないだろ」


先輩はあたしの背中をさすり、たまに叩いて落ち着かせようとしてくれた。


< 32 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop