恋の授業。


約束の時間より10分前に家を出た。
待ち合わせで人を待たせるのは苦手だから、最低でも5分前には着くようにしている。



それでも早くに出過ぎちゃったかも、なんて思いながらベンチに向かっていると、そこには既に誰か座っているのが見えた。


小走りで近づくと、やっぱりホクロメガネだった。



うっ………!



スーツよりはラフな格好のホクロメガネが足を組んで座ったままワタシを見上げている。

今まで見下ろされるばかりだったからか
その光景がやけに新鮮に見える。



突然ドキドキと高鳴り出す心臓に気を引かれていると、フッと笑って首を傾ける…



な、ななっ、なんだなんだ……



見たこともない表情に、固まったままの身体がピクリとも動かない…


そんなワタシを見ながらホクロメガネは、自分の隣を手でポンポンと叩き座ったら?と目で訴えている。


< 146 / 324 >

この作品をシェア

pagetop