恋の授業。
…目を閉じて、音楽にだけ集中する。
ガタンッ
……わっ!
折角心地よく音楽に浸ってたのに、急な揺れに電車の中身が一斉に傾く。
まるでライブ会場だ。
重力に逆らうことなく、ワタシも傾く。
…そして気付いてしまった。
この匂い…知ってる……
前に、どこかで…
そう思いながら、焦点を合わせてその匂いの正体を確かめた。
……ワイ…シャツ?
次の瞬間…
ワタシの心臓が爆発したかと思うほど飛び跳ねた。
そのワイシャツに結ばれているネクタイは
あの地味なストライプだったのだ。
ドクンッ…
頭が真っ白という言葉を、初めて体感した。
ドキンッ
ドキンッ
心臓が痛い…
苦しい…
苦しい…
苦しいと思ったら、息を止めてしまっていたらしい。
……この柔軟剤の匂い
この地味なストライプ
……
…………
この人は……