恋の授業。
ワタシは、ゆっくりと上を見た。
「……っ!」
わわわわわ……
そう思ってからの事は
スローモーションの様だった。
固まるワタシをメガネの下の隙間から目を細くして、まるで…、ワタシの心を見透かして、『大丈夫だよ』とでも言っているような優しい目で…見ていた。
…な、ななな何でそんな顔するわけっ…!
もう会わないだろうと思っていたホクロメガネ。
やっといつものワタシに戻っていたのに
不意をつかれた気分だ。
顔を見ただけで、ワタシの頭の中をぐちゃぐちゃにするホクロメガネに、大きなため息がでた。
…違う。
本当は、そんな自分に対するため息だ…
もう大丈夫なはずだったのに。
折角穏やかに通学できてたのに。
本当にどうしちゃったんだワタシ。
たかが2、3回会った人のせいでこんなにソワソワして。
こんな自分に腹が立ちながらも
冷静になれ、と自分を諭す。
ホクロメガネに怯んだりしないと、決めたのだ。
ただ普通に。
関わらないように。
終点に着くと、今日は率先して電車を降りた。
ホクロメガネを見つけてから終点まではやたらと長く感じたけど、音楽はまだ一曲しか進んでいなかった。
とにかくワタシは急ぎ足で改札へ向かった。