恋の授業。
「ってゆーか、そこ?!そこなの?!」
軽くため息をつきながら突っ込む綾子にごめんと謝って笑う。
「ワタシ、ビックリしちゃった。」
「ん?」
「あんなに好きだったネイルもしてなかったし、美容室にもしばらく行ってないの。お肌も…。洋服も買ってない、本も全然読んでない。」
黙ってワタシの話を聞いてくれる2人。
「でも、それにすら気付いてなかったのが一番ビックリ。時間は確かに足りなかったけど、作ろうと思えば作れたはずなんだ…でも、そうする余裕がなかったんだと思う。」
ヤバい…話してるうちに落ちてくる…
「森川君との時間は嫌じゃなかったけど、『使命感』?みたいなものが強かったのかも。」
「使命感?」
引っかかったような顔をしてマリが言った。
「うん…。森川君が…、その、不安って言ったことがあるから…、そうならないように、できることは全部しよう、みたいな…。」
「森川…そんなこと言うわけ…?」
森川君と中学から友達のマリがドン引きしている。
「う、ん。だからワタシ、そればっかりになってたみたい…。気付かないうちに、無理…してたのかなぁ…?」
改めて2人を見ると、それ以外無いでしょ、と軽くたしなめられてしまった。