恋の授業。



「ただいま…」



父親の一言に自然に振り返った森川君は、ただいまと言う言葉で全てを理解したらしい数秒後に、絶句したまま固まった…。




「お、お帰りなさいぃぃ…」



ぅううあう!
なんで!なんでこんなタイミングっ



苦笑いしか出来ないワタシを見る父親もまた、苦笑いだ。



「あっ、もっ、森川君!あの、お父さん、なの…」



って…もうわかってるよねぇぇぇ



「はっ!始めましてっ!森川と申します!」



固まったままの森川君は、ロボットみたいに頭を下げながら挨拶をした。



「こんばんは、空の父です。」



「……」



「………」




「じゃあ、2人とも門限は守ってね」



最初こそ動揺してたものの、この気まずい空気に動じないのはやっぱり大人なんだろう。


そう言ってエントランスに入っていく父親を見送って、私たちはキノコ公園のベンチに向かった。


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