恋の授業。



「アハ!見られちゃった!」



森川君の言葉に思わず2度見した。



マンションの前で抱きついてるところを彼女の父親に見られたら、普通は落ち込んだりするんじゃないのか?



……マイペースだなぁ…



「ップハッ!」



我慢出来ずに吹き出すと、森川君は満足そうに笑う。
もしかしたら、ワタシを心配させないために強がってるのかもしれないと思った。



「ところで、今日は何してたの?
なんか、学校始まったらもっと一緒にいられると思ったのに、あいつらに取られちゃったから淋しかったよー」



相変わらず恥ずかしいこともラサっといってくれちゃう。

でも……、なんだか少し…息苦しい。



「駅のカフェ行ってお茶しただけだよ?」



自分の行動を聞かれるのは、好きじゃないと気が付いた。



「なんだそれだけ?じゃあ何時に帰ったの?」



……えっと…



「6時頃、かな…」



「えー?そんな早かったんだ。今まで何してたの?」



………。



「お風呂、とか…?」



「お風呂そんなにかかんないでしょ?あとは???」



えっ………



「半身浴、してたから、長かったの。」



この、ほんの数分の会話で、ワタシの気持ちがガクーンと落ちてしまった。


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