恋の授業。
森川君の肩越しに見える景色が滲む……
背中に回していた手は、いつの間にか力なく落ちて冷え切っていた。
なんで、どうして、また…
それだけが頭の中をぐるぐる回って、とてつもなく大きい後悔が心臓を潰して痛い。
…痛い。
いたい、いたい。
「でもじゃあ、俺にヤキモチ焼いたりする?」
え……?
「俺が予備校で誰と何話してるんだろうとか、思う?」
「……」
「女とメールしてないかなとか、気になる?」
せき止めていた何かが壊れたように次から次へと続く言葉に、ワタシは何も返すことができなかった。
そんな風に、思ったことがなかったんだ。
「ほらね…。全部、俺だけ。」
なんで…そんなっ
「なんでっ?なんでそんなこと言うの?ワタシは!ワタシは…」
滲んでいた景色が一瞬ハッキリしたのは、溜まっていた涙が零れたからだ。
「ワタシは、それでも森川君が好きだよ…?」
もうそれ以外に伝わって欲しいことなんてなかった。