恋の授業。
穏やかな時間
いつの間にか日が短くなって、風の匂いが冬に変わった。
あれから…森川君と別れてから、2ヶ月が経った。
すでに今は、パタッと前に戻ったかのように1人の時間だらけだ。
この前、そろそろどう?と連絡をもらって、サロンモデルの撮影も再開したし、読めずにたまってたラノベも、あっという間になくなった。
むしろ暇を持て余すワタシは、最近余計なことを考えてしまう。
この前電車で痴漢にあったとき助けてくれた女の人がかっこよかったよ。
専門の入学がほぼ決まったよ。
お父さんとお母さんに、別れたことがばれたよ。
森川君のことを見ても、心臓が痛いくらいに悲しくなることはなくなったよ。
こんな、こんな他人にとってはどうでもいいようなことでも、話したいと思う。
聞いてもらいたいと思う。
だけど…家が近所だっていうのに1度も見かけないし、電車でも会わない。
もしかしたら、もうここには住んでないかもしれない。
それでも、1日の終わりには、ホクロメガネと話したいと、思う。
ホクロメガネを思い出すと決まって、こう思うんだ。